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143-フィジー2013年憲法の成立と特徴

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フィジー2013年憲法の成立と特徴

 -政府草案からの修正点を中心に-

近大姫路大学教授 東  裕


はじめに

 フィジー2013年憲法が2013年9月6日に大統領の承認を得て成立・発効した。その後、同憲法161条による修正期間を経過し、その間一切の修正なく、2013年12月31日、大統領承認を得た条文のそのままで確定した。
 本誌前号(142号)の拙稿「フィジー憲法政府草案の概要と特徴-1997年憲法・ガイ草案との比較において-」の末尾において、「現時点で政府草案が新憲法草案として確定したものであるか否かが不明であり、今後政府による修正を経て新憲法(草案)が発表されることになるものと思われる」と記した。実際、政府草案は発表された2013年3月以降、数カ所の変更(修正・付加・削除)を経て、同年9月6日、ナイラティカウ大統領の承認を得て、フィジー独立以来4つ目の憲法(以下「2013年憲法」という。)が成立した。

 本稿では、確定した2013年憲法と政府草案との変更点について紹介し、そのうちの重要な特徴を分析する。

1.フィジー2013憲法・条文目次

  *下線を付した部分が「政府草案」が変更(文言の修正または条文配置の変更)された部分。そのうち太字ゴシックで示した条項は「政府草案」にはなく、新たに付加されたものである。

───────────────────────────────────────────────────
フィジー憲法

前文

第1章-国家
1.フィジー共和国
2.憲法の最高法規性
3.憲法解釈の諸原則
4.世俗国家
5.市民権

第2章-権利章典
6.適用
7.本章の解釈
8.生命に対する権利
9.個人の自由に対する権利
10.奴隷的拘束、苦役、強制労働、及び人身売買からの自由
11.逮捕者及び在監者の権利
12.残虐かつ品位なき取扱からの自由
13.不当な捜索及び押収からの自由
14.刑事被告人の権利
15.裁判所又は審判所へのアクセス
16.行政上及び管理上の正義
17.言論、表現、及び出版の自由
18.集会の自由
19.結社の自由
20.雇用関係
21.移転及び居住の自由
22.宗教、良心、及び信条の自由
23.政治的権利
24.プライバシーの権利
25.情報へのアクセス
26.平等への権利及び差別的取り扱いからの自由
27.強制的又は恣意的な財産収用からの自由
28.フィジー原住民、ロツマ人及びバナバ人の土地の保護
29.土地の権利及び利益の保護
30.鉱物の採掘に対する公正な採掘権の分配に関する土地保有者の権利
31.教育に対する権利
32 .経済的参加に対する権利
33.労働及び公正な最低賃金に対する権利
34.交通への合理的なアクセスの権利
35.住居及び公衆衛生に対する権利
36.十分な食料及び水に対する権利
37.社会保障スキームに対する権利
38.健康に対する権利
39.恣意的立ち退きからの自由
40.環境権
41.子どもの権利
42.障害者の権利
43.緊急事態における権利の制限
44.権利救済
45.人権及び反差別委員会

第3章-国会
第A部-立法権
46.立法権と国会の権能
47.立法権の行使
48.大統領の同意
49.法律の効力発生
50.規制及び法律の効力を有する法
51.国際条約と慣習に対する国会の権能
第B部-構成
52.議員
53.比例代表制
54.国会の構成
55.投票資格及び登録
56.国会選挙への立候補者
57.公職にある者の立候補者
58.国会の任期
59.選挙公告
60.立候補受付日
61.投票日
62.任期満了前の解散
63.議席の欠員
64.次点繰り上げ者
65.議員資格争訟
66.資格争訟の管轄裁判所
67.国会の会期
68.定足数
69.投票
70.委員会
71.議事規則
72.請願、公的アクセス、及び参加
73.議員の権限、特権、免責及び紀律
74.証人喚問権
第C部-諸制度及び公職
75.選挙委員会
76.選挙監視人
77.国会の議長及び副議長
78.野党指導者
79.国会事務総長
80.報酬

第4章-行政部
第A部-大統領
81.フィジー大統領
82.助言に基づく大統領の行為
83.就任資格
84.大統領の任命
85.任期及び報酬
86.就任宣誓
87.辞職
88.大統領不在時に首席裁判官が代行する
89.解職
第B部-内閣
90.政府の責任
91.内閣
92.首相職
93.首相の任命
94.不信任動議
95.閣僚の任命
96.法務総裁

第5章-司法部
第A部-裁判所及び裁判官
97.司法権及び司法権の独立
98.最高裁判所
99.控訴裁判所
100.高等裁判所
101.下級裁判所
102.その他の裁判所
103.裁判所規則及び手続
104.司法業務委員会
105.裁判官任用資格
106.裁判官の任命
107.その他の任命
108.司法部職員
109.就任宣誓
110.任期
111.首席裁判官及び控訴裁判所長官の解任事由
112.司法部職員の解職事由
113.司法部職員の報酬
第B部-独立司法及び法業務機関
114.独立法務業務委員会
115.フィジー反腐敗独立委員会
116.法務次官
117.検事総長
118.法支援委員会
119.恩赦委員会
120.公職紀律審判所
121.説明責任及び透明性委員会
122.現職の地位

第6章-国家業務
第A部-公共業務
123.諸価値及び諸原則
124.公職者は市民でなければならない
125.公共業務委員会
126.公共業務員会の権限
127.事務次官
128.大使の任命
第B部-訓練された部隊
129.フィジー警察隊
130.フィジー矯正隊
131.フィジー共和国軍
第C部-憲法公職委員会
132.憲法公職委員会
133.憲法公職委員会の権能
第D部-公職に関する一般規定
134.適用
135.公職の任期と条件
136.報酬及び手当
137.解職事由
138.委員会及び審判所の権限行使

第7章-歳入及び歳出
139.歳入の調達
140.整理基金
141.法で認められた支出金
142.支出金に先立つ支出の認可
143.支出金と課税方法については大臣の承認を必要とする
144.年間予算
145.政府による保証
146.使途の説明を要する公金
147.一定の給与と手当の支払いのための整理基金の常設支出金
148.その他の目的のための整理基金の常設支出金

第8章-説明責任及び透明性
第A部-行為規範
149.行為規範
第B部-情報の自由
150.情報の自由
第C部-会計検査官
151.会計検査官
152.会計検査官の権限
第D部-フィジー準備銀行
153.フィジー準備銀行

第9章-緊急権
154.緊急事態

第10章-免責
155.1990年憲法の下で認められた免責は継続する
156.2010年の政治的事件に対する責任の制限の下で認められた免責は継続する
157.更なる免責
158.免責は確定した

第11章-憲法の改正
159.憲法の改正
160.改正手続き
161.2013年12月31日以前の改正

第12章-施行、解釈、廃止及び経過
第A部-略称及び施行
162.略称及び施行
第B部-解釈
163.解釈
第C部-廃止
164.廃止
第D部-経過
165.大統領職
166.首相及び閣僚
167.公的又は憲法公職者
168.財政
169.国会及び議長の権限
170.選挙
171.諸制度の継承
172.権利と義務の維持
173.諸法の維持
174.司法手続

スケジュール
──────────────────────────────────────────────────────────────────────

2.政府草案の修正点

 各条文見出しの修正点は、(1)(政府草案になく)新たに付加された条項・(政府草案とは条文の)配置が変更された条項、(2)(政府草案の条文見出しの)文言が修正された条項、(3)(政府草案にあったが)削除された条項、に分けられる。
 ただし、これらの修正点は、条文見出しの変更が示す変更点で、これらの変更だけが修正点というわけではない。条文見出しには変更はないが、条文本文の文言や項立てが変更されたものもあり、その中には内容の大きな変更を伴わない文言や項の配置の修正にとどまるもの(第2条【憲法の最高法規性】、第5条【市民権】など)と、内容の重大な変更がなされたもの(第53条【比例代表制】、第159条【憲法の改正】など)がある。

 そこで、まず、条文見出しが変更された条項の見出し上の変更点だけを紹介し、次の「3.政府草案の修正点の特徴」で、新たに付加された条項を含めて、条文の内容に重大な変更があった条項について解説したい。

(1)新たに付加された条項・配置が変更された条項
政府草案にはなく新たに付加された条項は以下の通りである。
 1)権利章典(第2章)
 ①フィジー原住民、ロツマ人及びバナバ人の土地の保護(28条)、②土地の権利及び利益の保護(29条)、③鉱物の採掘に対する公正な採掘権の分配に関する土地保有者の権利(30条)。これらの条項は、政府草案には含まれていなかった内容を新たに付加した重要な条項である。
 2)国会(第3章)
 ①国会の会期(67条)。この条項の内容は、政府草案にあった「選挙後の初国会」(政府草案65条)と「その他の国会の招集」(政府草案66条)を含み、そこに3項を付加し、より詳細に規定したものである。
 3)司法(第5章)
 政府草案にはなかった「部」に分けられ、第A部「裁判所及び裁判官」、第B部「独立司法及び法業務機関」の2つの部が創設され、後者に「法支援委員会」(118条)、「公職紀律審判所」(120条)、「説明責任及び透明性委員会」(121条) の政府草案になかった3条が新たに付加された。
 4)国家業務(第6章)
 政府草案では、第A部「公共業務」と第B部「訓練された部隊」の2部構成であったが、第C部「憲法公職委員会」と第D部「公職に関する一般規定」の2部が加えられ、4部構成となった。第C部「憲法公職委員会」には、憲法公職委員会(132条)と憲法公職委員会の権能(133条)が付加された。 第D部「公職に関する一般規定」には、政府草案では第8章「説明責任及び透明性」の第E部に置かれていた 適用(政府草案146条)公職の任期と条件(政府草案147条)、報酬及び手当(政府草案148条)、解職事由(政府草案149条)、委員会及び審判所の権限行使(政府草案150条)の5カ条の規定が、そのままここに移された。
 5)憲法の改正(第11章)

 政府草案にはなかった、2013年12月31日以前の改正(161条)の1条が付加された。この条項は、改正規定の例外を定めた経過規定で、2013年12月31日以前に、大統領は内閣の助言に基づき、この憲法の条項が完全な効力を持つために必要な憲法修正またはこの憲法の条項の中にある矛盾若しくは誤りを訂正するために必要な憲法修正を、官報に登載される政令(Decree)によって行うことを認めたものである。

(2)文言が修正された条項
 1)権利章典(第2章)
 ①「表現、出版及びメディアの自由」(政府草案17条)が「言論、表現及び出版の自由」(17条)に、②「宗教の自由」(政府草案22条)が「宗教、良心及び信条の自由」(22条)に、③「恣意的収用からの自由」(政府草案37条)が「強制的又は恣意的な財産の収用からの自由」(27条)に、それぞれ修正された。
 2)国会(第3章)
 第A部「立法権」の冒頭の条文「国会の立法権」(政府草案43条)と最後の条文「国際合意に対する国会の権能」(政府草案48条)が、それぞれ「立法権と国会の権能」(46条)、「国際条約と慣習に対する国会の権能」(51条)に修正された。
 第C部「諸制度及び公職」の最後の条文「報酬委員会」(政府草案79条)が「報酬」(80条)に修正された。
 3)司法部(第5章) 「裁判官の報酬」(政府草案112条)が「司法部職員の報酬」(113条)に修正された。
 4)説明責任(第8章) 政府草案の章名「説明責任及び透明性」から「説明責任」に修正され、1条からなる第A部「行為規範」の条文が「説明責任及び透明性委員会」(政府草案141条)から「行為規範」(149条)に修正された。

 5)「施行、解釈、廃止及び経過」(第12章) 第D部「公職者」(政府草案163条)が「公的又は憲法公職者」(167条)に修正された。

(3)削除された条項
 1)国会(第3章)
 「選挙区」(政府草案52条)、「選挙後の初国会」(政府草案65条)、「その他の国会の招集」(政府草案66条)。「選挙区」については、政府草案にあった全国を4つの選挙区に分割する案が変更され、2013年憲法で全国を1つの選挙区とすることになったため、削除された。
 「選挙後の初国会」(政府草案65条)と「その他の国会の招集」(政府草案66条)については、すでに述べたように2013年憲法で新設された「国会の会期」(67条)の中に取り込まれた。
 2)国家業務(第6章)

 「定年」(政府草案125条)、「契約任用」(政府草案126条)、「公共業務紀律審判所」(政府草案127条)。これらの諸規定は、2013年憲法では、国家業務(第6章)で新設された 第D部「公職に関する一般規定」の諸条項(134条~138条)でより詳細に規定された。

3.政府草案の修正点の特徴

 政府草案と成立した2013年憲法を比較すると、上記のような変更点がみられるが、内容的にみて重要な変更点は、(1)原住民の権利・利益保護規定の導入、(2)選挙制度の変更、(3)首相と大統領の権限の変更、(4)改正禁止規定の導入、である。

(1)原住民の権利・利益保護規定の導入
 権利章典(第2章)に原住民の権利・利益の保護に関する3ヵ条が新たに導入された。①フィジー原住民(iTaukei)、ロツマ人(Rotuman)及びバナバ人(Banaban)の土地の保護(28条)、②土地の権利及び利益の保護(29条)、③鉱物の採掘に対する公正な採掘権の分配に関する土地保有者の権利(30条)、の3条である。
 ①「フィジー原住民(iTaukei)、ロツマ人(Rotuman)及びバナバ人(Banaban)の土地の保護」(28条)では、それぞれの土地の慣習的保有者の所有権が保障され、それぞれの土地は、憲法27条に定める公用収用による場合を除き、売買、贈与、または交換によっても、永久に譲渡されてはならない、と規定された。
 ②「土地の権利及び利益の保護」(29条)では、「この憲法の施行直前に存在していた土地の所有権、並びに土地の借用及び賃貸借契約を含む土地に関するすべての権利及び利益は、この憲法の下でも維持される」(29条1項)と定められ、現状のすべての土地の賃貸借はその契約によるほか終了されることのない権利が保障され(同条2項)、すべての自由保有地は国への売却または憲法27条の公用収用による以外、自由保有地はそのまま存続することが保障された(同条3項)。

 ③「鉱物の採掘に対する公正な採掘権の分配に関する土地保有者の権利」(30条)では、「地下又は水面下のすべての鉱物は国によって所有されるが、いずれの土地の所有者(慣習的保有地又は自由保有地を問わず)又はいずれの登録された慣習的漁業権の保有者も、土地または漁業権を設定された海底からの鉱物採掘権の国による許可に対した国に支払われる鉱区使用料又はその他の金銭の公平な配分権が保障される」(30条1項)と定める。

(2)選挙制度の変更
 選挙制度については、政府草案で採用された「大選挙区非拘束名簿式比例代表制」(multi-member open list system of proportional representation)(政府草案50条(1)項)が、2013年憲法でも採用された(53条(1)項)。しかし、選挙区については政府草案にあった全国を4つの選挙区に区分(中央地区18人、西部地区16人、北部地区7人、そして東部地区4人の定数配分)し、各選挙区ごとに選出する方式(52条(1)(2)項)から、全国を1区として選出する方式に変わり(53条(1)項)、議員定数も政府草案の45人(政府草案51条(1)項)から50人に変更された(54条(1)項)。

 選挙への立候補は、政党所属候補だけでなく無所属候補も認められている(56条(1)項)。政党所属候補の場合、政党得票数が全投票数の5%以上を獲得しないと政党に議席が配分されず、無所属候補者でも全投票数の5%以上の得票がないと当選できない(53条(3)項)。

(3)首相と大統領の権限の変更
 軍の最高司令官が、政府草案の首相から2013年憲法では大統領に変わった。政府草案では、「首相は、フィジー共和国軍の最高司令官である」(政府草案91条(2)項)とした条文が削除され、その代わりに2013年憲法では「大統領はフィジー共和国軍最高司令官として儀礼的な役割と責任を遂行する」(81条(3)項)と定められた。

 また、政府草案では、「毎年、首相は、翌年の政府の政策と計画の大綱について演説するため国会に出席しなければならない」(政府草案91条(3)項)としていた条文が削除され、2013年憲法では「毎年、大統領は、政府の政策と計画の大綱について演説するため、国会に出席しなければならない」(81条(4)項)と規定された。

(4)免責条項改正禁止規定の導入
 「憲法の改正」条項は、政府草案では「この憲法、又はこの憲法のいかなる条項も、本章に定められた手続きに従って改正されなければならず、その他のいかなる方法によっても改正されてはならない」(政府草案156条)との規定を置いていた。
 ところが、2013年憲法では、政府草案156条と同一の条文を159条(1)項として規定し、さらに1項を付け加えて第(2)項とし、「この憲法の第10章免責又は第12章第D部のいかなる規定も廃止し((a)号)、この憲法の第10章免責又は第12章第D部のいかなる規定の効力を侵害し、又は減じ((b)号)、この章の効力を無効とし、侵害し、又は減じる((c)号)、この憲法に対するいかなる改正も決して許されない」(159条(2)項)、と規定した。

 こうして、過去のクーデタに関与した者の免責を認める政令の有効性を確認する条文を置いた憲法第10章と第12章第D部の諸規定の改正を禁止した。

4.結びに代えて

  2013年憲法のうち、政府草案から変更された条文とそのうちの特に重大な変更を意味するいくつかの規定について紹介した。重大な変更点の中でも、とりわけ重要な変更は、原住民の権利・利益保護規定の導入(28条~30条)であろう。この点は、2013年3月に政府草案が発表されて以降、フィジー国内各所で行われた政府草案に関する公聴会で、もっとも多くの要望が出された事項で(Pacific Islands Report, August 23, 2013; Fijilive, August 22, 2013)、それが憲法規定として実現したものである。
 この3ヵ条の規定は、原住民の土地と沿岸海域における慣習的権利・利益を保護すると同時に、慣習的権利から生じる土地賃貸料・鉱業権使用料等の利益を権利者間で公平に分配することを求めている。すなわち、伝統的なフィジー原住民の権利・利益保護と同時に、伝統的権利から発生する利益を伝統的首長により多く傾斜配分する伝統的配分方式を改め、権利者住民への平等な分配を求める経済・社会面でのきわめて民主的な改革を実現した。後者に着目すれば、伝統的な社会・経済構造の改革を狙った「革命的」な規定を導入したといえる。
 この点を見逃して、単に伝統的な原住民の権利・利益保護規定であると判断してはならない。バイニマラマ政権が目指してきた政策の一つが、伝統的経済社会の構造改革であり、その内容が伝統的慣習保有地の利用促進とそこから得られる利益の分配を平等化することであった。目的とするところは、土地利用の活性化を通じた産業開発と経済成長、そして国民生活の向上である。

 筆者らが2011年3月にフィジー政府庁舎でバイニマラマ首相にインタビューした際、同首相は情熱的にこの点を強調していたことが印象深く記憶に残っている。同首相によれば、伝統的経済社会構造の改革には一定の準備期間が必要で、それを示したのが2009年のロードマップであり、2013年の新憲法制定、2014年の総選挙実施・民主政復帰という行程であった。このバイニマラマ政権の公約実現がほぼ確実となった今、わが国を含む関係先進諸国は、2007年以来の対フィジー政策の検証と今後のフィジー政治状況の推移を展望した新たな対フィジー政策の立案が求められよう。

参考文献
・Constitution of The Republic of Fiji(本稿でいう「2013年憲法」。)
・Draft Constitution Of Fiji.(本稿でいう「政府草案」)
・東 裕「フィジー憲法政府草案の概要と特徴-1997年憲法・ガイ草案との比較において-」『パシフィック ウェイ』通巻142号、一般社団法人太平洋協会、pp.8-21、2013年8月。(*政府草案から変更がなかった2013年憲法の特徴については、すでに本稿で紹介されている。)


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