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139-パラオ観光客数の推移

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 パラオ観光客数の推移
~非核の国に、観光客30年間で20倍に~

            上 原 伸 一 ( うえはら しんいち)


 今回は、パラオの憲法が施行され、自治政府が発足してから30年間のパラオの観光客数の推移について簡単に報告をする。
 パラオ政府観光局から発表されている入島者数は、年によってデータの取り方が違っている。基本的には、観光客(tourist)と訪問者(visitor)の両方を足した数字になっている。この両者については、厳密な区別は行われていない。ただ、その他の入島者(フライトクルー、現地居住の非パラオ人、学生、外国人従業者等)を加えている時と分けている時とがある。パラオ旅客数推移の表で、網掛けをしている部分は基本的にはこうした人たちも数に含まれている。従って、厳密な比較は出来ないが、全体的な観光客数の推移を俯瞰することは可能である。
 1981年1月1日にパラオ共和国憲法が施行され、自治政府が発足した。この年の外国人旅客数は3902人である。その後、1985年に1万人を超えてからは基本的には順調に数を伸ばしている。2010年の旅客数は、8万5000人を超えており、30年で20倍以上となっている。目立つのは、台湾からの観光客である。1988年までは、統計に数字が出てこないが、1995年には1万人を超えている。景気動向とその年のブームによって大きく数字が上下している。航空便も、チャーターベースの直行便や定期便が飛んでいる時期もあるし、基本的に直行便がなくなってしまっている時期もある。1997年に6万人を超えた旅客数がその後しばらく5万人台に落ちているのは台湾からの旅行者の大幅減に伴うものである。2003年には台湾からの観光客が前年の倍近い数に増え、総計で6万台に復帰している。
 近年急速な伸びを見せているのは韓国である。年により増減しながらも、日本台湾に次いで3位に浮上している。ソウルから週2便の直行便も飛んでいる。

 台湾と対照的なのが日本からの観光客で、着実に数を増やしている。2009年は、リーマンショックの影響で、前年比1割強の減となっているが、台湾のような極端な増減はない。2011年の旅客数は、11月までで既に日本からの観光客(34,280人)も、総数(99,168人)も前年を上回っている。3.11の大震災にも拘わらず日本からの観光客数は、1月から11月まで全ての月で前年を上回っている。デルタ航空が成田から直行の定期便を2010年末から飛ばすようになったことが大きな原因であるが、原発の事故に苦しむ日本から、非核の国を訪れる人が増えたのかもしれない。


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